調査と研究
Research on Inclusive Tourism
私は、障害の有無にかかわらず、誰もが旅行を楽しむためには何が必要なのかを研究しています。
特に、旅行先での「移動のしやすさ」と「情報の得やすさ」に着目し、それらが旅行者の満足度や再訪意向にどのような影響を与えるのかを、熱海とルスツでの調査を通じて考察しました。
その成果をリサーチペーパーとしてまとめ、高校生研究ジャーナル「Young Nurture High School Journal」に掲載されました。2026年9月には、スコットランドで研究発表を行いました。
01|研究のきっかけ
The Beginning of My Research
この研究の出発点は、車いすを利用する従兄との旅行でした。
一緒に旅行する中で、旅先に「行ける」ことと、そこで安心して「楽しめる」ことは同じではないと気づきました。旅行先では、段差などの設備面だけでなく、移動ルートや休憩場所、利用できる施設など、旅行前に知りたい情報が十分に見つからないことがあります。
そこで私は、旅行におけるアクセシビリティには、設備だけでなく、「移動しやすいこと」と「必要な情報を事前に得られること」の両方が重要なのではないかと考えました。
この疑問が、私の研究のスタートになりました。
02|ルスツ・熱海での調査
Research in Rusutsu and Atami
研究では、異なる特徴を持つ二つの旅行先として、北海道のルスツと静岡県の熱海を調査対象としました。
ルスツリゾートでは、2025年夏に489名の旅行者を対象としたアンケートを行いました。その後、車いすを利用する従兄と現地を訪れ、館内の移動ルート、段差やエレベーター、案内表示、休憩場所などを実際に確認しました。従業員の方からも、日頃の対応や現場で感じている課題について話を伺いました。
熱海では500名の旅行者を対象に、移動のしやすさ、交通手段や案内の分かりやすさ、スタッフのサポート、自分で行きたい場所へ行き、希望する活動に参加できたかなどについてアンケートを実施しました。
二つの旅行先で得られた結果を比較しながら、「親切なサービス」と「旅行者が自分で移動し、必要な情報を得られる環境」が、旅行の満足度や再訪意向にどのように関係しているのかを分析しました。
03|研究から分かったこと
Key Findings
調査結果から、スタッフの親切なサポートは旅行者の満足度を高める一方、それだけでは誰もが楽しめる旅行を実現するには十分ではないことが分かりました。
特に、「自分で移動できること」、「必要な情報を得られること」、「希望するActivityに参加できること」は、旅行者がその場所をもう一度訪れたい、ほかの人にも勧めたいと思う気持ちと強く関係していました。
また、移動や情報に関する問題が多いほど、旅行先をほかの人に勧めたいという評価が低くなる傾向も確認されました。
この結果から、誰もが楽しめる旅行には、困ったときに助けてもらえることだけでなく、旅行者が自分で選び、安心して行動できる環境が必要だと考えました。
04|リサーチペーパーの発表
Publishing and Presenting My Research
調査で得られた結果をより深く分析し、一つのリサーチペーパーとしてまとめました。
論文のタイトルは、
Inclusive Tourism Beyond Hospitality: Mobility, Information Accessibility, and Visitor Loyalty in Atami and Rusutsu, Japan
August 20, 2026
です。
この論文は「Young Nurture High School Research」で発表されました。また、2026年9月にはスコットランドを訪れ、研究内容について発表する機会をいただきました。
自分が旅行の中で感じた疑問から始まった研究を、調査結果に基づいてまとめ、海外で多くの方に伝えられたことは、私にとってとても貴重な経験となりました。




研究発表の様子(2026年9月、スコットランド・エディンバラ)
Research presentation in Edinburgh, Scotland – September 2026
05|研究からJoyWheel! Travelへ
From Research to JoyWheel! Travel
この研究を通じて、誰もが旅行を楽しむためには、設備を整えるだけでなく、旅行者が自分に必要な情報を事前に知り、自分で選択できることが重要だと分かりました。
しかし、旅行先のアクセシビリティ情報は、複数のWebサイトに分散していたり、「バリアフリー」という言葉だけで詳しい状況が分からなかったりすることがあります。また、必要な情報は、車いす利用者、視覚や聴覚に障害のある方、高齢者、子ども連れの家族など、一人ひとり異なります。
そこで考えたのが、旅行者それぞれのニーズに合わせて必要な情報を届ける「JoyWheel! Travel」アプリです。
研究によって課題を明らかにし、現地で得た声をAccessibility Guideとして形にし、さらに多くの旅行先へ広げるため、現在アプリの開発を進めています。これまでの活動は、すべて「行ける旅行」から「楽しめる旅行」へという一つの目標につながっています。
